
福岡県立香椎高等学校 ファッションデザイン科
企画、デザイン、縫製、モデルも自分たちで務める。
ファッション業界を夢見る高校生たちの挑戦。
福岡県の県立高校で唯一、ファッションに関する専門学科を有するのが香椎高等学校だ。昨年度より「服飾デザイン科」から「ファッションデザイン科」に科名を改め、各学年1クラスで編成されている。

授業ではファッションに関する知識や技能の習得はもちろん、仮のブランドを立ち上げて商品企画を実際に考えてみたり、「ファッションウィーク福岡」に参加して企業とやり取りをしたり、「TGC(東京ガールズコレクション)」で本番前日のダミーモデルを務めたりと、実践的な経験を積むことができるのが特徴で、『キャナルシティ博多』のインフォメーションで働く受付スタッフの制服も同学科の生徒たちによるデザイン・製作というから驚きだ。

生徒たちに話を聞いたところ、「海外研修もあり、本格的な勉強ができる。将来はファッションデザイナーになりたい」、「色彩の勉強をしてヘアメイクの仕事に就きたい」と、通常の高校では味わえない専門的な学習を楽しんでいる様子。

ファッションデザイン科の一年間の集大成にあたるのが、学園祭「常磐祭」で開催されるファッションショーだ。準備期間は前年の秋から約10カ月。今年は学科の37名で110着もの衣装を全て手作りしたという。そしてファッションショー当日、プロのモデルからウォーキングを習った彼女たちは大勢の生徒たちの前で自前の衣装に身を包み、モデルとして舞台に立つ。

今年度のテーマは「MAGIC」。「ファッションショーを唯一無二にするのはクリエイションの魔法である」という思いが込められている。テーマごとに16のブロックに分け、それぞれでテイストの異なる衣装を用意。観客である生徒たちは、同級生や先輩である彼女たちの堂々とした姿に見惚れているように見える。

「せっかく作っても破れてしまって作り直したり、何日も徹夜することもありましたが、成功させることができて嬉しいです」と、ショーの後の生徒たちは口を揃えて話す。ステージの上とは違う、あどけない少女の表情が印象的だった。



