アビスパ福岡・三國ケネディブス
6人兄妹の“お兄ちゃん”は期待のルーキー。
「サッカーは自分にとっての生きがいです」
掲載:mix 2019 冬号(2019.11.22)
取材・文:中井 晴菜 / 写真:川﨑 一徳
アビスパ福岡
三國 ケネディエブス(19)
サッカーの名門校出身で中学時代から全国大会に出場し、得点王を獲得した三國ケネディエブス選手。A代表入りを期待される中、高校卒業後に彼が加入を決めたチームがアビスパ福岡! 加入直後から幾多の試合のメンバーに選出されている…が、それだけに壁にぶち当たることもあったはず。彼が歩んできたサッカー人生について尋ねてみた。
自分の思い描くプレイスタイルやフォワードとしての必要な技術の上達に悩み苦しみ、監督との話し合いや厳しい練習を繰り返す日々を過ごした中学1・2年時。2年間積み重ねた努力が報われたのが、中学3年時に出場した“全国中学校サッカー大会”だった。
彼は8ゴールを決めてチームを優勝へと導いたのだ。高校に入ると、ポジションは攻撃のフォワードから守備のディフェンダーへとコンバート。
そのきっかけを聞いてみると…
三國:「プロになるならフォワードでは無理だと思いました。センターバックなら、この高い身長と足の速さを活かすことができる。良い素材を持っているのではないかと思い、自分から監督に相談しました」。
そうして自ら“成功への道”を選び抜き、現在はプロのセンターバックとして奮闘している三國選手。アビスパの選手として初出場した試合が今季開幕戦だ。
周囲の期待を背負った初試合について、
三國:全国広告サッカー大会で5万人の観客がいる中での試合を経験していたから、Jリーグの開幕戦も落ち着いてやれるだろうと思っていたけど…サポーターやファンの声援を聞いて、背負っているものが違いすぎると感じました。プレッシャーがすごかったです。
と、プロの舞台の重圧には驚いたという。
多くの試合に出場していた加入当初に比べ、最近の試合出場数に落ち着きを見せる彼は、今新たな課題と戦っている。
三國:今は個人的なスキルUPのために、パスやヘディングの精度を上げる練習に力を入れています。…試合にはものすごく出たい。前回の試合から期間が空いて天皇杯に出場した時、体力的にキツく、試合に出ていないと自分の体調管理が難しくなることを実感しました。体力を落とさないことはもちろん、常に上げていかないといけないですね。

「サッカーは他の競技と違って、すぐに点を入れることはできません。その一点を取りに行く姿勢やがむしゃらさ、そして逆転したときに鳥肌が立つあの瞬間がすごく好きです」
サッカーと共にほとんどの人生を歩んできた三國選手。時には苦しめられ、時には助けられる存在であろうサッカーについて聞いてみた。
三國:生きがいです。サッカーがないと、なにも残らない。サッカーでご飯を食べていくしかないし、サッカーで養わないといけない。自分には下に4人、上にひとり兄妹がいるんです。
なんと三國選手は、順天堂大学でさっかーをしている兄と、バスケをしている高校2年生と中学1年生の妹、そしてサッカーをしている小学5年生と1年生の弟がいる6人兄妹! 兄弟の数もそうだけど、全員がスポーツをしていることにも驚いた。
三國:兄妹にいろんな物を買ってあげることがあるのですが、そういうのが結構好きなんです。面倒見がいいねってよく言われるんですけどね(笑)。
そう話す彼の目は優しくて、頼もしい“お兄ちゃん”の顔をしていた。
今、目前の試合に出場することを目指して悪戦苦闘している三國選手。
三國:A代表になることが一番の目標ですが、その前にやることはたくさんあります。プレミアリーグでサッカーができることを目指して、まずは一流のプレイヤーになりたいと思っています。そのためのステップアップを今頑張っていますが、決して簡単なことではありません。とにかくがむしゃらに走っていきたいです。
■Profile
’00年生まれ。東京都出身。192cmの長身とスピードを武器に、青森山田高校へと進学。全国大会での活躍から“日本代表に近い高校生”として注目を集める中、今年アビスパ福岡へ加入。高卒ルーキーでありながら開幕戦から先発に抜擢される