the peggies 北澤 ゆうほ
“天国と地獄”は紙一重。
対極にあるものも深いところでは
繋がっている。
掲載:mix 2019 春号(2019.02.28)
取材・文:中井 晴菜 / 写真:内田 達也
ザ・ペギーズ
the peggies 北澤ゆうほ
中学校の同級生で結成した3人組ガールズバンド・the peggies(=以下、ペギーズ)が、メジャーファーストフルアルバム『Hell like Heaven』をリリースした。TVアニメ『青春ブタ野郎はバニーガールの夢を見ない』のOPテーマ『君のせい』をはじめ、『BORUTO -ボルト-』EDテーマ・デビュー曲『ドリーミージャーニー』など全12曲が収録。まずはアルバム名の“天国のような地獄”について込められた思いを、ヴォーカル・ギター&ソングライターの北澤ゆうほさんに聞いてみた。
北澤:メンバーと一番話し合ったのは、シングルでは出せなかった“ペギーズのもう一つの表情”、コントラストが伝えられる1枚にしたい、ということ。“天国と地獄”をポジティブとネガティブという言葉に当てはめて、対極にあるようなものでも実は深いところで繋がっていることを伝えたかったんです。普段のペギーズが発信する前向きなメッセージも、表面的にただ明るいだけじゃなく、実はすごく悩んだり足掻いたり、ぐちゃぐちゃになった感情を乗り越えたり。それも含めて、最終的に前向きな気持ちに持っていっていることが伝わればいいなと思います。前向きなメッセージが受け入れがたいような悩んでいる人たちにも、私たちも一緒なんだよって寄り添えたら嬉しいです。
ゆうほさんと同じ生年月日の筆者を含め、我々若者は、大人には分からない悩みの種がたくさんある。実はゆうほさんも、そのような経験をしてきた一人だ。
北澤:私は本当に人付き合いができなかったから、当時はすごく不安でした。上手く人と話せないし、友だちも全然できないし…。このまま大人になったらどうなるんだろうって。だけど、不安ながらも『これが私なんだ』って吹っ切れた状態で周りに向き合っていたと思います。友だちがいなかったり人付き合いできないのは、一時的に寂しいかもしれないけど、私が最終的に行き着いた答えは“周りに人がいなくても、自分の心に自分がちゃんと寄り添うことができれば孤独ではない”ということ。私自身、変わろうとしていなかったけど、結果としては変われています。人を優しく受け入れられるようになったし、それって必要以上に悩んだり無理をしなくても、人は自然と変化をもたらすことができるんだなって思いました。今悩んでいる子たちに言うならば、全然無理して変わらなくていいんだよって言ってあげたいです。
最後に4月から始まる全国ツアーについて意気込みを聞いた。
北澤:規模も大きくなり、全国16カ所回ることができます。アルバムリリースツアーということで、サウンド面で挑戦した新曲もやらせていただけるので、ツアーを通して、ペギーズとして、ライヴバンドとして、ひと回り二回りと成長できたらいいなと思っています。各地方に行く度に、行ったことのない場所でも待ってくれていることや会いに来てくれることのありがたさを、ひしひしと感じています。今回もその感謝の気持ちを忘れずに、各地方の皆さんと向き合ってライヴをして一体感を感じられたらと思います。少しでも前向きになれるお手伝いができたらいいなと思っています。
多くのガールズバンドが名を響き渡らせるなか、自然体な女の子の姿を描き続けているペギーズ。可愛かったり格好良かったり、不安な気持ちがありながらも強がっていたり。女の子が持っている要素のすべてと正直に向き合い、表現するペギーズだからこそ、強く共感し惹かれるものがある。
■RELEASE
発売中 4th Single『スタンドバイミー』
CDのみ通常盤 1080円