
東福岡高等学校 サッカー部
全国大会常連の“赤い彗星”は、
サッカーも人間性も愚直に芯を鍛える。
長友佑都や本山雅志などの日本代表経験者を筆頭に、これまで数多くのプロサッカー選手を輩出してきた東福岡高等学校サッカー部。ユニフォームのカラーにちなんだ「赤い彗星」の異名や、学校自体もラグビーや野球、バレーボールも含めたスポーツの強豪校として全国的な知名度を誇る。その強さの理由を知りたい…それが取材の始まりだった。サッカー部の部員数は300人強。

U-18プレミアリーグ、福岡県1〜3部とカテゴリごとにチームを分けている。なにか特別な練習を行なっているのかと思いきや、「ボールを蹴る、止めるといった基礎の質を高めることが重要」とチームを指揮する森重監督は話す。「対面パスの練習にしろ、試合中に対面でパスすることなんてそんなにありません。一つひとつの局面の精度を高めたいと思っています。チームとしてのベースは同じで、進化する必要がある」と、地道な基本技術の向上がモットーのようだ。

「サッカー部から見ても、クラスメイトにラグビーなどの全国トップクラスの生徒がいて刺激を得ています。長友は高校時代から負けず嫌いで努力家でしたが、彼はラグビー部の生徒とも練習していたぐらいですから。サッカー部が選手権で優勝した時は、決勝の前日が春高バレーの決勝の日で我々も100人以上応援に行きました。ウチの決勝にもバレー部が応援に来てくれて。部活同士でライバルのように高め合っているんですね」と、森重監督。文武両道を掲げる東福岡は普通科のコースしかないが、学校全体が一枚岩として各々の部活に取り組む、それも強豪校たる所以らしい。

練習中にも関わらず、取材班の前を通る生徒がみな自然と挨拶をしてくれる姿も印象的だった。「学校生活もキチンとできていなければ人間性が問われる」という森重監督の言葉に、スポーツに励む意識が結果として学校生活にも反映されるという好循環を生んでいるのだなと納得させられる。サッカーも人間性も芯を大事にする、その姿勢が東福岡の伝統的な強さを支えているのかもしれない。