
こわせ貯金箱 (万能グローブ ガラパゴスダイナモス)
情熱と衝動を胸に秘める5人が一念発起。
人気地元劇団から若手ユニットが誕生!
10年以上に渡って芝居を続け、ついに昨年はキャナルシティ劇場での公演を実現。福岡を拠点に活動する万能グローブ ガラパゴスダイナモス(以下、ガラパ)は、ゆっくりと着実に前進してきた劇団だ。高校演劇部を母体に結成したことから若手劇団として扱われることが多かったけど、中心メンバーは30代に突入。近年はオーディションにより加入した新メンバーが活躍する姿が多く見られる。そんなガラパの若手選抜とも言えるユニットが、20〜25歳の5人が集まった「こわせ貯金箱」だ。「この一年間、ガラパは本公演をしていなくて、僕はなにか公演をやりたいなと思って先輩たちに相談したのが結成のきっかけです。

舞台に立ちたいという意思の強い若手が集まりました」(西山)、「私と野間、中島はガラパの初舞台で。反省ばかりで、みんなで『まだまだやれる』と話しています」(石井)、「作・演出はガラパの川口(大樹)さんで、歳は少し離れているけど精神年齢が近いのでやりやすいです(笑)」(野間)、「ガラパがもっと大きくなって毎回何千人も公演に人を呼べて、お金も稼げて、仕事も色々増えて、ガラパにいることで自然と生活ができるようになるのが目標です」(西山)と熱く話すが、周囲の同年代には「やりたいことが見つからない」という人も多いという。「私は大学3年生なんですけど、みんな自分がなにになりたいか定まってなくて、『とりあえず就職かなぁ』という人が多いですね。『現実見なさい』と言われそうで、私、前は俳優やりたいって周りに言えなかったです」(中島)、「演劇やってたら、逆に凄いと思われるんですよ。僕はむしろ働きよる方が凄いなと思う」(西山)、「ウチらは好きなことしよるだけやけんね」(隠塚)と、切磋琢磨し合う関係性の5人は周囲とのギャップを感じることもあるようだ。

そんな若手メンバーたちは、これまで何度もくじけそうな壁にも直面してきた。「ガラパに入って4年間、ずっと舞台に立てなくて小道具を作ったり公演の受付をやったりしていて、『なんで私はキャストに選ばれんのやろう』と思っていました。私の後に入った人が先に本公演に出た時は、もうダメなんじゃないかとかなりへこみましたね」(石井)、「演劇やりながら、実は今もずっと葛藤しています。就職は視野に入れているんですけど、私の心が乗り気じゃなくて。しなきゃいけないのかなという気持ちもあるけど…」(中島)、「私はガラパに入って初めて芝居をやったんですけど、日常で自然とやっていることを芝居でやるということがどうしてもできなくて、稽古場で泣いて泣いて。でも、稽古や本番を重ねる中で先輩と向き合う時間も長いので、そこで学ぶことがめっちゃありました。

劇団は集団行動だけど、人間関係があまり得意じゃないので、その壁を乗り越えるのはなかなかきつかったですね(苦笑)。ガラパの人たちは変な人が多いから、今は居心地良いです(笑)」(隠塚)、「気づいたら一緒におるよね。家族みたいな」(野間)。学校でも職場でも家庭でもない“劇団”という特殊なコミュニティの中で、時に傷つき懊悩しながらも舞台ではエネルギッシュに躍動する。そんな人間の生々しさが垣間見えるから、ガラパの舞台は多くの人の心を魅了するのかもしれない。

『こんなガラパみたことない。 今年の夏はガラパがインプロ 〜ワークショップもあるよ!〜』
ガラパが東京のインプロパフォーマンス集団 Platformとコラボして行なう即興劇!
8月24日(金)19:00
8月25日(土)19:00
[会場]甘棠館Show劇場
[料金]2,200円