「不思議の国のアリス展」がスタート! 知識集団“QuizKnock”が「アリスは知識の交差点」と見どころを語る。
イギリスの作家ルイス・キャロルにより『不思議の国のアリス』が発表されて150年余り。発行部数1億部を誇る世界的ベストセラーの世界を存分に楽しめる展覧会が福岡市美術館で始まりました。今回、展覧会のオフィシャルガイドブックを手掛け、音声ガイドでは展示作品にまつわるクイズを10問出題する東大発の知識集団“QuizKnock”より、QuizKnock発起人の伊沢拓司さんと美術史を専門に学んでいる志賀玲太さんが来福。展覧会や『アリス』の魅力について語ってくれました。
―今回の展覧会とQuizKnockさんのコラボはどのようにスタートしたのでしょうか?
伊沢:去年の夏にお話をいただきまして、その時に思ったのは、『アリス』の世界が我々の暮らしの色んなところに文化として入っているにも関わらず、『アリス』について知る機会がそんなにないなということでした。僕たちはふだんから学びを繋ぐ仕事をしていて、皆さんにちょっとした興味を持っていただくという活動をしているので、この作品と僕たちは相性が良いんじゃないかと思いました。
志賀:そう、「知っているようで知らないこと」はクイズととても相性がいいんですよ。
伊沢:原作者のルイス・キャロル自身もクイズ作家であると も言えますから。
―今回『アリス』の世界に触れて改めて感じたことは?
志賀:『アリス』は今はメルヘンな文化の一部になっていると思いますが、原点をたどってみると奇妙で不条理な面があり、文学的で詩的な言葉遊びもあるんですね。「こんなに奥深い世界観だったんだ」というのは、コラボ企画を作っている中で感じましたね。
伊沢:文化的な奥行き、懐の深さというものが凄いなと思って、「この言葉もアリスが由来なんだ」というものがあったり、“知識の交差点”だということに改めて気づかされて。ルイス・キャロルという知識人の奥行きを感じました。
―今回、QuizKnockさんが制作したオフィシャルブックのクイズの難易度はどれぐらいなんでしょうか?
伊沢:今回は正解を目的にしたクイズではないんですよ。気づきのきっかけを与えるためのクイズです。少し難しめではあるんですが、展示会を観ていただけるとスッと入っていけると思います。
―お二人から見た今回のアリス展の見どころは?
志賀:『アリス』に関する絵を網羅的に見られるという部分はもちろん、私としては、芸術家の方が自分のスタイルを通してアリスの世界観をどう表現するか…そういったところに重 きを置いて制作された作品がたくさんある点が見どころですね。たとえばサルバドール・ダリや草間彌生さんによる作品などです。そこはぜひ注目していただきたいです。
伊沢:僕は最初の神戸の展示からずっと見ているんですけど、「自分の中のアリス」に気付けるところですね。複数の方向性から照らし出されることによって、「自分はアリスをこういう風に見ていたんだ」と気づかされるのは面白かったです。物語を追って楽しめる展示のコーナーもありますが、改めてアリスならではの不条理さも感じられるはずです。どこに注目するかによって見え方が全然違うんですよ。
―音声ガイドのクイズはどのように考えましたか?
伊沢:あくまでも展示がメインなので、僕たちは「ここ気にしてなかったでしょ?」「これを知っておくと見え方変わるよ」という、あくまでも展示に沿うような形でクイズを考えていきました。
志賀:問いを立てることによって、展覧会をもっと深く楽しめるようにすることが目的でしたね。
伊沢:今回の展覧会はお子さんでも見られる内容ですし、むしろお子さんだからこそビジュアルの新鮮さなど響くものはたくさんあると思うので、家族みんなで見ていただきたいです!